『夜明けのすべて』/瀬尾まいこ
物語の主人公は28歳の女性・藤沢さんと25歳の男性・山添君。
2人は同じ会社の同僚です。
藤沢さんはPMS(月経前症候群)、山添君はパニック障害を抱えています。
それぞれ名前は知っているけど、当事者じゃないとなかなか理解しにくい障害だと思います。
2人の唯一の共通点は上記の障害の影響で前職を辞めているということです。
藤沢さんは月に1回はPMSによるイライラから爆発してしまい、職場に居づらくなってしまい退職。
山添君はパニック障害の発作前は仕事ができて、上司・友人・彼女などにも恵まれた生活を送っていましたが、発作がきっかけで仕事を辞めて引きこもってしまいました。
そんな2人は徐々にお互いの障害を理解し合っていきます。
イライラや発作が起きるタイミングや対処法がなんとなくわかってきて、お互いに自然と助け合っていくのです。
恋人や友人や家族とは違うのに、不思議と心を許しあえる関係なのが良いですね。
また、職場の理解がある環境も良いです。
会社の規模は小さいのですが、のんびりとした雰囲気で爆発や発作が起こってもそれを受け入れてくれます。
体調が悪かったらいつでも休んで良いし、誰かが休んでも自然とカバーし合える環境が素敵ですね。
何かと障害を排除する社会ですが、こうやって余裕を持って受け入れてくれる環境があるのは良いですね。
何でも受け入れるのは難しいですが、受け入れられるものは自分も無理のない範囲で受け入れていきたいなと思います。
瀬尾さんの小説は温かみのあるものが多く、安心して読めるのでオススメです。